ビタミンDの効果は?過不足による影響や1日当たりの目安量など解説

「ビタミンD」という名称は聞いたことがあっても、具体的な働き効果から摂取方法まで理解している方は少ないのではないでしょうか。

ビタミンDは、過剰に摂取しても不足してもカラダに影響する可能性があるため、1日の摂取量の目安や上限について正しく知っておきましょう。

この記事では、ビタミンDに期待できる働き効果や、1日の摂取量の目安について性別・年齢別に解説します。ビタミンDを効率的に摂取する方法も紹介するので、ぜひ参考にして下さい。

ビタミンDに期待できる働き効果

ビタミンDには、骨や歯の健康に関わり、血中のカルシウム濃度を一定に調節する作用も持ちます。神経伝達や筋肉の収縮にも関わっており、健康を維持するために欠かせない栄養素のひとつです。

ビタミンDは食品から摂取できるほか、紫外線を浴びることで体内にて合成できるところも特徴です。そのため日頃、日光に当たる機会が少ない方は、ビタミンDが不足しやすくなるとされています。

なお、ビタミンDは、主に植物性の「ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)」と、動物性の「ビタミンD3(コレカルシフェロール)」の2種類に分類されますが、体内での働きは同じであるため、総称してビタミンDと呼ばれます。

ビタミンDは1日にどのくらい摂取するといい?

厚生労働省の「食事摂取基準(2020年版)(※)」では、ビタミンDの目安量と耐容上限量が設定されています。年齢・性別ごとにそれぞれ見ていきましょう。

(※)厚生労働省「食事摂取基準(2020年版)」

ビタミンDの1日の目安量

厚生労働省の「食事摂取基準(2020年版)」でいう目安量とは、「一定の栄養状態を維持するのに十分な量」とされています。

年齢・性別ごとのビタミンDの目安量は、以下の表をご覧下さい。

年齢

男性(μg/日)

女性(μg/日)

0~11ヶ月

5.0

5.0

1~2歳

3.0

3.5

3~5歳

3.5

4.0

6~7歳

4.5

5.0

8~9歳

5.0

6.0

10~11歳

6.5

8.0

12~14歳

8.0

9.5

15~17歳

9.0

8.5

18歳以上

8.5

8.5

妊婦・授乳婦の場合も、18歳以上の成人と同じ8.5μgが目安量と設定されています。

また、厚生労働省が示す目安量は、日光を浴びることにより産生されるというビタミンDの特徴を考慮して設定されたものです。そのため、目安量を一律に適用せず、季節や地域に応じた対応が求められるとしています。

ビタミンDの1日の耐容上限量

厚生労働省の「食事摂取基準(2020年版)」でいう耐容上限量とは、「健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限」とされています。

年齢・性別ごとのビタミンDの耐容上限量は、以下の表をご覧下さい。

年齢

男性(μg/日)

女性(μg/日)

0~11ヶ月

25

25

1~2歳

20

20

3~5歳

30

30

6~7歳

30

30

8~9歳

40

40

10~11歳

60

60

12~14歳

80

80

15~17歳

90

90

18歳以上

100

100

ビタミンDを耐容上限量以上に摂取すると過剰摂取となり、健康障害が起こるリスクが高まるとされています。

ビタミンDが不足または過剰摂取した場合の影響

前述のとおり、ビタミンDには目安量と耐容上限量が設定されており、不足または過剰摂取すると、カラダに影響がおよぶ可能性があります。

以下では、ビタミンDの不足と過剰摂取による影響を解説します。

不足した場合に起こり得る影響

適度に日光を浴びながら通常の生活を送っていれば、基本的にビタミンDが不足する可能性はないとされています。

しかし、以下の例のように、状況によっては不足しやすくなるケースもあるため注意が必要です。

  • 食事からの摂取量が十分でない方
  • 日光に当たる機会が少ない方
  • 皮膚でのビタミンDの生成効率が低下した高齢者の方

ビタミンDが不足すると、血中のカルシウム濃度が低下したり、骨からカルシウムが溶け出したりする可能性があり、骨の形成が上手にできず、骨が弱まりやすくなるとされています。

小児では「くる病」、成人では「骨軟化症」や「骨粗鬆症」につながるケースもあるとされるため、ビタミンDが不足しやすいケースに当てはまる方の場合は、より意識して補うことが重要です。

過剰摂取した場合に起こり得る影響

紫外線を浴びて皮膚で産生されるビタミンDの量は調節されるため、日照によって過剰に産生されることはありません。

そのため、日光を浴びることでのビタミンDの過剰産生リスクについては気にしなくていいですが、経口摂取の際には過剰摂取に気をつけた方がいいといえます。

ビタミンDは水に溶けない「脂溶性ビタミン」であり、体内に蓄積されやすい性質を持ちます。食品やサプリメントからの過剰摂取によって、健康障害が起こるリスクがあることに注意しましょう。

ビタミンDの過剰摂取を続けると高カルシウム血症となったり、軟組織の石灰化が見られたりする可能性があるとされています。

さらに食欲不振・体重の減少・嘔吐などを引き起こす恐れもあるため、適量の摂取を守ることが大切です。

ビタミンDの摂取方法

ビタミンDを摂取する方法には、食品から摂る方法と日光を浴びて生産する方法の2つがあることはすでにお伝えのとおりです。ここからは、より詳しい内容をそれぞれ解説します。

食品から摂る

ビタミンDは食事から摂取するのが基本です。主にきのこ類、魚類に多く含まれており、そのほか卵類、乳類にも含まれます。

ビタミンDが多く含まれる主な食品について、文部科学省「食品成分データベース(※)」の情報を参考に、以下の表にまとめました。

食品の分類

食品名

可食部100g当たりに含まれる量(μg)

きのこ類

しいたけ(乾)

17.0

まいたけ(生)

4.9

魚介類

くろまぐろ(養殖/赤身/生)

4.0

めばちまぐろ(脂身/生)

8.1

べにざけ(生)

33.0

まさば(生)

5.1

卵類

鶏卵(全卵/生)

3.8

鶏卵(卵黄/生)

12.0

乳類

普通牛乳

0.3

ナチュラルチーズ(パルメザン)

0.2

(※)文部科学省「食品成分データベース」

脂溶性ビタミンであるビタミンDは、脂質を含む動物性食品から摂取するとよりカラダに吸収されやすい特徴があります。

きのこ類のように植物性食品から摂る場合は、油を使って調理すると吸収率をより高めることができます。

日光を浴びる

ビタミンDは食事からの摂取が基本ですが、カルシウム代謝の観点では日光からの生産も利用することが求められるとされています。

ただし、紫外線の量は季節や地域といったさまざまな要素に影響を受けるものです。

例えば「〇〇時間、日光浴をすればいい」のように、目安となる時間を決めるのは難しいとされますが、ひとつの案として「状況に応じて15〜30分程度の日光浴を行うのが目安」とする説もあるようです。

食品からの摂取と日光浴での摂取どちらかに偏らず、あわせて補給することを心がけましょう。

まとめ

ビタミンDは主に骨の健康に関わる栄養素であり、健やかな生活を送るうえで欠かせません。不足しても過剰摂取してもカラダへ悪影響を及ぼす恐れがあるため、適切な量を把握することは重要です。

ビタミンDを摂取するには、食品から摂る方法と、日光を浴びる方法があります。食品から摂取する場合、油と一緒に摂ると吸収率が高まるため、調理法も意識するといいでしょう。

また、健康を目指すにはビタミンDだけでなく、たんぱく質や葉酸、ミネラルやカルシウムなど、幅広い栄養素に目を向けることが求められます。

なかでもたんぱく質は、皮膚や髪の毛、臓器などを作る栄養素であり、脂質・炭水化物とともに「三大栄養素」と呼ばれます。

たんぱく質をはじめとした各栄養素については別記事で詳細を解説しているので、ぜひこちらの記事もご一読下さい。

  • たんぱく質

fujimi.me

  • 葉酸

fujimi.me

  • ミネラル

fujimi.me

  • カルシウム

fujimi.me

【監修者】

北嶋佳奈

大学卒業後、飲食店勤務やフードコーディネーターアシスタントを経験し、独立。

2019年に株式会社Sunny and設立。「こころもからだもよろこぶごはん」をテーマに美容・ダイエット・健康に関する料理本の出版、雑誌でのレシピ開発やコラム執筆、ラジオ・テレビ・イベントへの出演などで活動中。

所有資格:管理栄養士