ミネラルとは?主な働きや含有量の多い食品、摂取目安量などわかりやすく解説

ミネラルという言葉は聞いたことがあるものの、ミネラルとは何か、そして実際にどのような働きをしているのかよく理解できていない方もいるのではないでしょうか。

本記事では、ミネラルの働きやミネラルが含まれる食材、過剰摂取に注意したいミネラル、摂取推奨量などについて詳しく解説します。

ミネラルの働きを知りたい方や、ミネラルが多く含まれる食材を知りたい方は参考にして下さい。

ミネラルとは

ミネラルはカラダを構成する水素・炭素・窒素・酸素以外の元素の総称で、無機質ともいわれます。そして、骨や歯、筋肉や血液の成分になり、さまざまな生理作用に関わる重要な要素です。

ミネラルは約100種類ありますが、そのうちカラダの構成に必要なものは16種類といわれています。これらのミネラルは体内では作られないため、日々の食事から摂取する必要があります。

また、ミネラルは摂りすぎにも不足にも注意が必要で、ミネラル同士でそれぞれの働きに作用し合うものもあるため、バランスのいい摂取が大切です。

必須ミネラルは全部で16種類

ミネラルは骨や歯、筋肉の成分として欠かせないものが16種類あり、必須ミネラルといわれています。そして、必須ミネラルは1日の摂取量が100㎎以上の多量ミネラルと、100㎎未満の微量ミネラルに分類され、それぞれ大切な役割を果たしています。

以下の表では、16種類の必須ミネラルの働きを紹介しているので、参考にして下さい。

多量ミネラル

カルシウム

歯や骨、細胞を構成する

血液凝固や筋収縮にも関与する

リン

歯や骨、細胞を構成する

ナトリウム

体内の水分を調整し、血圧も調整する

カリウム

マグネシウム

筋肉や心臓の動きを助ける

骨や歯を構成する

微量ミネラル

血液のもとになる赤血球を作る

亜鉛

エネルギー代謝に必要な酵素の構成成分

マンガン

セレン

モリブデン

ヨウ素

甲状腺ホルモンを作る

クロム

インスリンの働きをサポートする

ミネラルを多く含む食品とは 

ミネラルは体内では作られないため日々の食事から取り入れる必要がありますが、どの食材にどのミネラルが含まれているのでしょうか。

下記の表では、ミネラルを多く含む食品を種類ごとに紹介しています。日々の食事から必須ミネラルをバランスよく摂取できているか、チェックしてみましょう。

主要ミネラル

カルシウム

小魚(干しエビ、しらす)

乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)

リン

豚ヒレ肉、ししゃも、高野豆腐、加工食品

ナトリウム

醤油、食塩、味噌、梅干、塩鮭

カリウム

果物、昆布、芋類

マグネシウム

ひじき、納豆、アーモンド

微量ミネラル

レバー、牛肉、まぐろの赤身、納豆、しじみ

牛レバー、するめ、大豆

亜鉛

牛の赤身肉、牡蛎、うなぎ

マンガン

あさり、栗、玄米

セレン

鶏ささみ、いわし、玄米

モリブデン

牛レバー、あさり、枝豆

ヨウ素

いわし、さば、かつお

クロム

鶏むね肉、ひじき、卵

積極的に取り入れるべきミネラルと、過剰摂取に注意すべきミネラル

16種類の必須ミネラルは、カラダの構成のために必要なミネラルですが、摂りすぎにも不足にも注意が必要です。

ここからは、積極的に取り入れたいミネラルと、過剰摂取に注意したいミネラルに分けて紹介します。日々の食生活の参考にして下さい。

不足に注意したいミネラル

積極的に取り入れたいミネラルには、カルシウムと鉄、亜鉛があります。それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。

  • カルシウム

カルシウムは骨や歯を強くする働きがあります。骨粗しょう症や骨折予防につながるため、食物から積極的に取り入れたいミネラルです。

鉄は血液のもとになる赤血球に含まれており、不足すると貧血につながる可能性が高くなります。また、月経のある女性にとっては特に不足しやすいミネラルであるため、積極的に取り入れたい栄養素です。

鉄分を簡単に摂取する方法は、以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にして下さい。

fujimi.me

  • 亜鉛

亜鉛は消化やカラダの代謝に必要なミネラルで、健康なカラダ作りには欠かせない栄養素です。

過剰摂取に注意したいミネラル

続いて、過剰摂取に注意したいミネラルを紹介します。理由とともに解説するので、順番に見てきましょう。

  • ナトリウム

ナトリウムは主に塩や、塩を含む調味料から摂取するため、過剰摂取は塩分過多につながります。塩分過多は高血圧につながる恐れがあるため、注意が必要です。

  • マグネシウム

一般的な食習慣では、摂りすぎの心配はないものの、サプリメントで過剰に摂取すると下痢を起こす場合があります。また、マグネシウムは多くの食品に含まれており、マグネシウム不足にはなりにくいといわれています。

  • リン

リンは適切に摂取できていると骨や歯のもとになりますが、過剰摂取はカルシウムの吸収を妨げてしまいます。リンは加工食品に食品添加物として含まれていることが多いので、インスタント食品などを食べる頻度が多い方は注意が必要です。

  • セレン

セレンはエネルギー代謝に必要なミネラルですが、過剰摂取で脱毛や爪の変形が生じる場合もあります。また、普段の食生活では不足しにくいため、意識して摂る必要はあまりないミネラルです。

性別・年齢別ミネラルの摂取量の目安 

ミネラルは、性別や年齢によって摂取量の目安が異なります。とりわけ妊娠中や授乳中の女性は推奨されるミネラルの摂取量が変わっていきます。

本項目では主なミネラル摂取量の目安を性別、年齢別で解説しているので、摂取時の参考にして下さい。

また、本文中で紹介している耐容上限量とは、健康リスクが起きにくい摂取量の上限のことです。妊娠中や授乳中、健康上の不安がある方は、必ずかかりつけの医療機関にご相談下さい。

ナトリウム

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、ナトリウムの摂取量を食塩相当量で示しており、摂取量の目安は成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と定めています。

なお、成人未満の年齢区分ごとの目標量は下記のとおりです。

(食塩相当量:g/日)

 

男性

女性

1~2歳

3.0

3.0

3~5歳

3.5

6~7歳

4.5

8~9歳

5.0

10~11歳

6.0

12~14歳

7.0

6.5

15~17歳

7.5

6.5

18歳~

7.5

6.5

(※)厚生労働省「「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」

カリウム

同じく厚生労働省の報告書では、日本人のカリウム摂取目安量を下記の表のとおり紹介しています。また、同報告書では妊婦は2,000㎎/日、授乳婦は2,200㎎/日の摂取が推奨されています。

サプリメントや薬を積極的に摂取しない限り過剰摂取にはなりにくいため、耐容上限量は設定されていません。

(単位:mg/日)

 

男性

女性

3~5歳

1,102

1,082

6~7歳

1,376

1,362

8~9歳

1,638

1,611

10~11歳

1,961

1,990

12~14歳

2,492

2,435

15~17歳

2,890

2,602

18~29歳

3,063

2,541

30~49歳

3,190

2,643

59~64歳

3,186

2,673

65~74歳

3,080

2,609

75歳~

2,886

2,484

(※)厚生労働省「「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」

カルシウム

カルシウムの摂取推奨量は、10代半ばまでは年齢を重ねるごとに増えるものの、15歳以降は徐々に減っていきます。カルシウムの摂り過ぎは尿路結石や高カルシウム血症が起きる可能性があるため、耐容上限量は成人と高齢者で2,500㎎/日とされています。

厚生労働省の報告書では、カルシウムの摂取推奨量を次の表のとおり紹介しているので、参考にして下さい。

(単位:mg/日)

 

男性

女性

1~2歳

428

415

3~5歳

587

532

6~7歳

585

538

8~9歳

645

750

10~11歳

708

732

12~14歳

991

812

15~17歳

804

673

18~29歳

789

661

30~49歳

738

660

59~64歳

737

667

65~74歳

769

652

75歳~

720

620

(※)厚生労働省「「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」

マグネシウム

マグネシウムは先述のとおり、過剰摂取で下痢が起きる可能性があります。そのため成人では350㎎/日、8歳以上の小児では5㎎/㎏/日が耐容上限量として設定されています。

成人の摂取推奨量は男女関係なく4.5㎎/㎏/日で、小児も男女関係なく5㎎/㎏/日です。自分の体重を当てはめて計算してみて下さい。

また、妊婦は摂取推奨量に1.2乗した数値が摂取推奨量です。

リン

リンは、先述したように摂りすぎるとカルシウムの吸収を妨げてしまいます。よって、成人のリンの耐容上限量は3,000㎎/日とされています。

摂取推奨量は、成人や高齢者、小児で18.7㎎/㎏/日、妊婦と授乳婦は800㎎/日、乳児は260㎎/日です。

まとめ 

ミネラルは地球上に約100種類ありますが、そのうち人間のカラダの構成に必要なミネラルは16種類あり、必須ミネラルといわれています。これらのミネラルは日々の食事から取り入れる必要があり、過不足なくバランスよく摂取する必要があります。

なかでもカルシウムや鉄は不足しがちであるため、紹介した食品を参考に、積極的に摂取してみて下さい。

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【監修者】

北嶋佳奈

大学卒業後、飲食店勤務やフードコーディネーターアシスタントを経験し、独立。

2019年に株式会社Sunny and設立。「こころもからだもよろこぶごはん」をテーマに美容・ダイエット・健康に関する料理本の出版、雑誌でのレシピ開発やコラム執筆、ラジオ・テレビ・イベントへの出演などで活動中。

所有資格:管理栄養士