抜け毛やパサつきなど髪の悩みがあり、改善したいと考えている方は多いでしょう。髪質を改善したい方が積極的に摂るといいとされる栄養素は、たんぱく質です。
髪の毛の主成分ケラチンはたんぱく質の一種なので、たんぱく質の不足は髪の毛のトラブルの原因になります。
本記事では、髪の毛とたんぱく質の関係やたんぱく質が不足する理由、おすすめのプロテイン、効果的なたんぱく質摂取のポイントを解説します。たんぱく質のほかにも髪の毛の健康に欠かせない栄養素があるので、詳しく紹介します。カラダの内側から髪質の改善をしたいと考えている方は、ぜひ参考にして下さい。
- プロテインが健康的な髪の毛や髪質改善に不可欠な理由
- たんぱく質不足で起こる髪の毛のトラブル
- 髪の毛や頭皮のたんぱく質が不足する原因
- プロテインの種類と特徴
- 髪の毛の健康に効果的なたんぱく質摂取のポイント
- 髪の毛の健康に効果的なたんぱく質以外の栄養素
- まとめ
プロテインが健康的な髪の毛や髪質改善に不可欠な理由
「プロテイン」は「たんぱく質」という意味の英語で、「protein」と表記されます。
たんぱく質が健康的な髪の毛や髪質改善に不可欠な理由は、髪の毛の主成分がたんぱく質だからです。髪の毛の主成分となるたんぱく質を、ケラチンといいます。
ここでは、プロテインが髪の毛に不可欠な理由について、詳しく解説していきます。
髪の毛の主成分はたんぱく質であるケラチン
たんぱく質は髪の毛の主成分で、全体の80~85%を占めています。残りの15~20%の成分は、水分やメラニン、脂質です。
たんぱく質の種類は、約10万種類あるといわれています。そのなかで髪の毛の主成分になるたんぱく質は「ケラチン」という種類で、髪を構成するたんぱく質のうちの80~90%を占めています。
ケラチンは18種類のアミノ酸によって構成されており、そのなかでも、システイン・グルタミン酸・ロイシンが髪の毛にとって重要なアミノ酸です。
ケラチンは、シャンプーや育毛サプリに配合されることも多く、健康な髪を維持するために積極的に取り入れたい栄養素です。
髪の毛はたんぱく質不足の影響を受けやすい
たんぱく質は、髪の毛だけでなく筋肉や臓器、皮膚、爪、ホルモン、ヘモグロビンなどカラダのあらゆる部分の主要な成分でもあります。
たんぱく質が不足した場合は、生命維持に必要な部位から順に栄養素が送られるため、髪や爪など末端に位置する部位はたんぱく質不足による影響を受けやすい性質があります。
そのため、健康的な髪の毛や髪質改善をしたい場合は、たんぱく質が毛髪まで行き届くように適切な量を摂取しなくてはいけません。
たんぱく質の適切な摂取量やたんぱく質を多く含む食材については、以下の記事をご覧下さい。
たんぱく質不足で起こる髪の毛のトラブル
たんぱく質は、髪や爪などカラダの末端部分だけでなく、生命の維持に欠かせない臓器や筋肉のもとになる重要な栄養素です。たんぱく質が不足するとカラダの末端まで栄養が届きにくくなり、さまざまなサインが現れます。
たんぱく質不足で起こる髪の毛のトラブルは、以下になります。
- 抜け毛
- ツヤがなくなる(パサつき)
- 切れ毛・枝毛
- ボリュームがなくなる
また、頭皮などの皮膚もたんぱく質でできているため、頭皮のトラブルの原因にもなります。頭皮環境の悪化が髪のトラブルにつながる場合もあるので、髪の毛と合わせてケアを行う必要があります。
髪の毛や頭皮のたんぱく質が不足する原因
たんぱく質不足は、以下の事柄が原因で起こります。
- ダイエットや加齢に伴う食事量の減少
- 偏った食生活
- 洗浄力の強いシャンプーの使用
ここからは、それぞれの原因を詳しく解説していきます。
ダイエットや加齢に伴う食事量の減少
ダイエットや加齢に伴う食事量の減少で、たんぱく質が不足する場合があります。
たんぱく質を多く含む食べ物はカロリーが高いものが多いため、特にダイエット中は避ける人も多いでしょう。しかし、たんぱく質が不足すると筋肉量と基礎代謝量が落ちるため、かえって痩せにくいカラダになってしまいます。
また、歳を重ねると食事の全体的な量が減り、たんぱく質をはじめとした栄養素が不足する傾向にあります。特にたんぱく質が多く含まれる肉は、咀嚼や消化にエネルギーを要するので高齢者に避けられがちです。
偏った食生活
偏った食生活は、たんぱく質不足につながります。炭水化物や糖を多く含む、菓子類、パン類、パスタ、ラーメンなどは、たんぱく質があまり含まれていないことがほとんどです。
上記の食べ物ばかりを食べていると、お腹は満たされるもののたんぱく質やそのほかの必要な栄養が不足してしまいます。また、カロリーの過剰摂取による肥満や生活習慣病の原因になる可能性もあります。
偏った食生活をしている方は、納豆や豆腐、卵などの良質なたんぱく質を豊富に含むおかずを取り入れるなどの工夫が必要です。
洗浄力の強いシャンプーの使用
洗浄力の強いシャンプーの使用も、髪の毛のたんぱく質が不足する原因のひとつです。シャンプーにはさまざまな界面活性剤が使われており、界面活性剤が髪のたんぱく質を洗い流してしまう可能性があります。
シャンプーに使われている界面活性剤の種類と、洗浄力の強さを以下で紹介します。
界面活性剤の種類 |
適している人 |
洗浄力 |
高級アルコール系 |
油性肌 強いスタイリング剤を使用する人 |
強い |
石けん系 |
普通肌 健康な髪の状態の人 |
普通(さっぱり) |
アミノ酸系 |
敏感肌 髪の毛にダメージがある人 |
弱い マイルド |
ベタイン系 |
乾燥肌 髪の毛がパサついている人 |
弱い しっとり |
強いスタイリング剤を使った日には、髪や頭皮の汚れを落とさなくてはいけないため、洗浄力が強い界面活性剤が入っているシャンプーを使ってもいいでしょう。しかし、あまり汚れていない日には洗浄力が弱く低刺激のものを使うのもおすすめです。
肌質やスタイリング剤使用の有無、髪の毛の状態などを考えて、シャンプーを選びましょう。
プロテインの種類と特徴
たんぱく質は髪の毛の健康と深く関わっていますが、市販のプロテインにはさまざまな種類があるため、どれを選ぶべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
栄養補助食品のプロテインには、ホエイプロテインやガゼインプロテイン、ソイプロテインがあり、それぞれ原料と特徴が異なります。それぞれのプロテインの種類と特徴は以下のとおりです。
プロテインの種類 |
原料 |
特徴 |
ホエイプロテイン |
乳清 |
吸収が早いので運動後におすすめ |
ガゼインプロテイン |
牛乳から脂肪とホエイを取り除いた不溶性固形成分 |
吸収速度はゆるやかで満足感が持続する |
ソイプロテイン |
大豆 |
吸収速度はゆるやか 血流の流れをサポートする |
なかでもソイプロテインには血流をサポートする特徴があり、頭皮環境の改善のきっかけとなります。
髪の毛の健康に効果的なたんぱく質摂取のポイント
ここからは、髪の毛の健康に効果的なたんぱく質摂取のポイントを紹介します。
- たんぱく質の吸収率が高いタイミングで摂取する
- 適切なたんぱく質の量を摂取する
- たんぱく質の吸収を助ける栄養素と一緒に摂取する
それぞれのポイントを詳しく解説していきます。
たんぱく質の吸収率が高いタイミングで摂取する
1日のなかで、たんぱく質の吸収率が高いタイミングが3つあります。吸収率が高いときに摂取することで、より高い効果を期待できます。
- 運動直後
- 夜寝る前
- 朝の起床後
運動直後はたんぱく質の吸収が高まります。また、睡眠中は成長ホルモンがたんぱく質の吸収を高めるため、寝る前のタイミングでたんぱく質を摂取するといいでしょう。
ただし、寝る直前だと胃腸に負担をかけてしまうので、就寝する30分~1時間前くらいがベストです。栄養素が枯渇している朝に摂取するのもおすすめです。
適切なたんぱく質の量を摂取する
人間のカラダは、一度に多量のたんぱく質を吸収できません。過度なたんぱく質を摂取は内臓に負担をかけるだけでなく、せっかく摂取したたんぱく質を体外に排出してしまいます。
無駄なく栄養素を吸収するためにも、たんぱく質の摂取は1日のなかで何回かに分けましょう。たんぱく質を一度に吸収できる量は年齢や性別、体型などによって異なりますが、1食当たりの目安は20~30gと考えましょう。
食事だけではたんぱく質を十分摂取できない場合は、不足する分を栄養補助食品のプロテインで補給するのがおすすめです。
以下の記事でもたんぱく質の適切な摂取量について説明をしているので、ぜひこちらの記事もチェックしてみて下さい。
たんぱく質の吸収を助ける栄養素と一緒に摂取する
たんぱく質の吸収を促す栄養素と一緒に摂取すれば、さらに効率的にたんぱく質をカラダに取り入れられます。
以下が、たんぱく質の吸収を助ける栄養素です。
栄養素の種類 |
役割 |
含まれる食材 |
ビタミンB6 |
たんぱく質の代謝を促進する |
鶏ささみ・マグロ・鮭・にんにく・玄米など |
ビタミンC |
コラーゲンを合成するのに必要な栄養素 |
ブロッコリー・いちご・レモンなど |
糖質 |
たんぱく質を効率よく使うために必要 |
ごはん・パン・うどんなど |
食事のメニューを決める際には、たんぱく質の量だけでなく、以上の栄養素が含まれているかもチェックしましょう。
髪の毛の健康に効果的なたんぱく質以外の栄養素
たんぱく質以外にも、髪の毛の健康に効果がある栄養素がいくつかあります。以下の表に、髪に効果的な栄養素と役割、食材をまとめているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
栄養素の種類 |
役割 |
含まれる食材 |
ミネラル(亜鉛) |
髪の主成分ケラチンの結合をサポートする |
生ガキ・しらす干し・牛もも肉・鶏レバーなど |
ビタミンB郡 |
頭皮の環境を守る |
かつお・まぐろ・豚ヒレ・鶏ささみなど |
ビタミンC |
亜鉛の吸収を助ける |
ピーマン・ブロッコリー・キウイフルーツなど |
ビタミンE |
カラダの血行をサポートし、頭皮に栄養を行き渡らせる |
アーモンド・ドライトマト・ヘーゼルナッツ・落花生など |
たんぱく質を積極的に摂取することは大切ですが、上記の栄養素もバランスよく摂取することで健康的な髪やカラダを維持することができます。バランスのいい食生活を心がけましょう。
まとめ
髪の毛の健康を保つためには、髪の主成分であるたんぱく質の摂取が欠かせません。
無理なダイエットや加齢による食欲の低下、偏食は、たんぱく質不足の原因となるので注意が必要です。また、洗浄力の強いシャンプーを使い続けることも髪のたんぱく質が不足する原因になります。
普段の食事に加えて栄養補助食品からたんぱく質を摂取する場合は、プロテインバーやドリンクタイプのプロテインがおすすめです。たんぱく質の吸収率を高めるビタミンB6やビタミンCなどと一緒に摂取すると、より効果を期待できます。
ぜひ、意識的に日々の食事から良質なたんぱく質を摂取して、健康的な髪を目指しましょう。
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【監修者】
吉岡容子
高梨医院 院長
東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。
※監修医師は特定の商品を推奨しているわけではございません