「ダイエットしたい」「健康的な体型を維持したい」と思ったとき、摂取カロリーを減らすことばかり意識しがちです。
しかし、摂取カロリーが少なすぎるとカラダに悪影響となり、かえって痩せにくい体質になることもあります。大切なのは、自分の適正な摂取カロリーを把握して、カロリー過多とカロリー不足の両方に気をつけることです。
この記事では、成人女性の1日の適正な摂取カロリーを、年齢別に解説します。健康的な体型を目指すための食事や運動のコツも紹介するので、ぜひ参考にして下さい。
本当にダイエットは必要?まずは適正体重を知ろう
「痩せたい」という願望は多くの女性が持つものですが、なかには痩せる必要がないにも関わらず、無理なダイエットをする方もいます。まずはそもそもダイエットが必要なのか、正しい情報を知ることが大切です。
ダイエットが必要なのか判断する方法のひとつに、「BMI(Body Mass Index)」があります。
BMIは、肥満や低体重の判定基準として国際的に用いられる体格指数であり、「体重(kg)÷身長(m)2」で求められます。
日本肥満学会では、BMIが18.5未満で低体重(やせ)、18.5以上25未満だと普通体重、25以上が肥満と定めており、もっとも病気になりにくい状態であるBMIが22であるとしています。一方、肥満となるBMI25以上では、生活習慣病のリスクが高まるとされています。
ダイエットに取り組む前に自分のBMIを計算し、現在の自分の体格指数がどの程度なのか把握することをおすすめします。
ただし、BMIの計算のみでは内臓脂肪の蓄積量などはわかりません。あくまでひとつの判断指標として、上手にBMIを活用しましょう。
なお、適正体重BMI22は、「身長(m)2×22」の計算方法で算出できます。
【身体活動レベル・年齢別】成人女性の1日の摂取カロリー
成人女性の適正な摂取カロリーは、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)(※)」にて、目安が示されています。
同資料では「身体活動レベル」として、日常の身体活動(運動・家事など)を強度に応じてⅠ~Ⅲの3段階に区分し、数値であらわします。
- 身体活動レベルⅠ
- 身体活動レベルⅡ
- 身体活動レベルⅢ
以下では、身体活動レベルの区分ごとに詳細を解説するので、自分の身体活動がどれに該当するのかを考えながら確認しましょう。
なお、妊娠中・授乳中の成人女性の場合、ここで示すよりも多くのカロリーが必要だとされることは覚えておいて下さい。
(※)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
身体活動レベルⅠの場合
身体活動レベルⅠ(低い)は、「生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合」とされています。1日のうち、座っている時間がほとんどの方が該当します。
身体活動レベルⅠの場合の、女性の推定エネルギー必要量は以下のとおりです。
年齢区分 |
1日当たりの推定エネルギー必要量 |
18~29歳 |
1,700kcal |
30~49歳 |
1,750kcal |
50~64歳 |
1,650kcal |
65~74歳 |
1,550kcal |
75歳以上 |
1,400kcal |
身体活動レベルⅡの場合
身体活動レベルⅡ(ふつう)は、「座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む場合」とされています。デスクワーク中心で、たまに買い物で歩いたり軽い運動をしたりする方が該当します。
身体活動レベルⅡの場合の、女性の推定エネルギー必要量は以下のとおりです。
年齢区分 |
1日当たりの推定エネルギー必要量 |
18~29歳 |
2,000kcal |
30~49歳 |
2.050kcal |
50~64歳 |
1,950kcal |
65~74歳 |
1,850kcal |
75歳以上 |
1,650kcal |
身体活動レベルⅢの場合
身体活動レベルⅢ(高い)は、「移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合」とされています。立ち仕事の方、カラダを動かす仕事の方、スポーツなど活発な運動を行う習慣がある方が該当します。
身体活動レベルⅢの場合の、女性の推定エネルギー必要量は以下のとおりです。
年齢区分 |
1日当たりの推定エネルギー必要量 |
18~29歳 |
2,300kcal |
30~49歳 |
2,350kcal |
50~64歳 |
2,250kcal |
65~74歳 |
2,100kcal |
75歳以上 |
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カロリー摂取量が多すぎる・少なすぎる場合の影響
カロリーの摂取量が多すぎても少なすぎても、健康によくない影響を及ぼす恐れがあります。そのため、前述した推定エネルギー必要量を参考にして、過不足ないカロリー摂取量を目指すことが重要です。
身体活動や基礎代謝による消費カロリーを上回るカロリーを摂取した場合、余った分が脂肪として蓄積し、肥満につながる可能性があります。
肥満になると、脂質異常症・糖尿病・高血圧などの生活習慣病を誘発し、さらに心筋梗塞・狭心症など心臓の病気を引き起こすリスクも高まるため、注意しなくてはなりません。
一方、カロリーの摂取量が少なすぎると、カラダにとって必要不可欠な栄養素の摂取量も不足しやすくなります。
必須栄養素が不足した場合、例えば「食物繊維不足で便秘になる」「鉄分不足で貧血になる」といった可能性があり、より深刻になると神経性食欲不振症(拒食症)、過食症などの摂食障害につながる懸念もあります。
健康的な体型を目指すコツ
ここからは、摂取カロリーと消費カロリーのバランスをいい状態で保ち、健康的な体型を目指すコツを紹介します。
適切なカロリーとたんぱく質の摂取を心がける
前の項目で説明したとおり、摂取カロリーは多すぎても少なすぎてもよくありません。極端なカロリー制限をすると、皮膚・髪の毛・筋肉などを作るために必要不可欠な栄養素であるたんぱく質も不足しやすくなります。
たんぱく質が不足すると筋肉量が落ち、基礎代謝も低下して痩せにくいカラダになる可能性があるので、意識して摂取することが求められます。
そのため、ダイエット中であっても、無理な食事制限や偏った食事内容にするのは控えて、自分にとって必要とされるカロリー摂取量を心がけましょう。
食事の内容は、「主食(米・パン・めん類)、主菜(魚・肉・卵・大豆製品)、副菜(野菜やきのこ類)」が揃っており、栄養バランスが整ったものが理想です。
例えば、「ランチにパンとおにぎりを食べる」といった主食に偏った食事内容では、炭水化物の摂取量が多くなります。いずれかの主食を肉類やサラダに変える、またはプラスして食べることで、栄養バランスが整いやすくなります。
とはいえ、特に朝食では主食・主菜・副菜が揃った食事を用意するのは大変なときもあるでしょう。どうしてもバランスが整った食事を用意できない場合には、手軽にたんぱく質を補えるプロテインをプラスするのもひとつの手です。
一般的に、たんぱく質を多く含む食品がプロテインと呼ばれますが、なかにはビタミン・カルシウム・鉄分など、さまざまな栄養素を含むプロテインもあります。
おにぎりやパンだけの朝食に、牛乳で溶いたプロテインをプラスするなどの工夫で、たんぱく質をはじめとした栄養素を補いやすくなります。
日常的に運動にも取り組む
ダイエット中には、摂取カロリーを減らすことに目が向きやすいですが、カラダを動かして消費カロリーを増やすことにも取り組みましょう。
運動の種類には有酸素運動・無酸素運動の2種類があり、それぞれ期待できる効果が異なります。
- 有酸素運動:ウォーキング・ジョギング・ランニング・水泳・エアロビクスなど
- 無酸素運動:筋トレ・短距離走・投てきなど
有酸素運動では継続的にカラダへ負荷がかかるため、消費カロリーが増えて体脂肪の燃焼が期待できます。無酸素運動では強い負荷が短時間でかかるため、筋肉量が増えて基礎代謝が向上し、太りにくいカラダを目指すことにつながります。
もし運動する時間を確保するのが難しい場合は、日常で少しでも動くことを心がけましょう。「通勤時にひとつ前の駅で降りて歩く」「外出先で階段を使う」「家事の合間にストレッチする」など、少しの意識で運動量を増やすことができます。
まとめ
痩せたいと思う成人女性は多くいるかと思いますが、無理なダイエットは禁物です。ダイエットをしようと思ったらまずは自分のBMIを計算し、現状の体型がどの程度の体格指数に当てはまるのかを確認しましょう。
また、1日の適正な摂取カロリーの目安は、身体活動レベルや年齢から把握できます。自分にとって必要なカロリー摂取量を理解したうえで、無理なく食事内容を改善したり、運動して消費カロリーを増やしたりするよう心がけましょう。
なお、健康的な体型を目指すには、主食・主菜・副菜が揃った食事を意識して、たんぱく質をはじめとした栄養素をきちんと食事から摂取することも重要です。
どうしても簡易的な食事になってしまう場合には、たんぱく質などの栄養素を補うために、プロテインを活用するのも選択肢となります。
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【監修者】
北嶋佳奈
大学卒業後、飲食店勤務やフードコーディネーターアシスタントを経験し、独立。
2019年に株式会社Sunny and設立。「こころもからだもよろこぶごはん」をテーマに美容・ダイエット・健康に関する料理本の出版、雑誌でのレシピ開発やコラム執筆、ラジオ・テレビ・イベントへの出演などで活動中。
所有資格:管理栄養士