栄養補給やダイエット目的でプロテインを取り入れる方の中には、運動の習慣がもともとない方も多いのではないでしょうか。そして、運動しないでプロテインを飲むと筋肉がつくのか、太るのかと、疑問に思われる方が多いのも事実です。
この記事では、運動をしないでプロテインを飲んでもいいのかを解説し、「筋肉がつく?」「太る?」といった疑問についても説明します。
運動をせずにプロテインを取り入れる際のポイントも紹介するので、ぜひご一読下さい。
- 運動をしなくてもプロテインを飲んでいい?
- 運動しないでプロテインを飲むと筋肉がつく?
- 運動しないでプロテインを飲むと太る?
- 【男性・女性別】たんぱく質の摂取量の目安
- たんぱく質を多く含む食品の一覧
- 運動しない方がプロテインを飲むときのポイント
- まとめ
運動をしなくてもプロテインを飲んでいい?
そもそもプロテイン(protein)とは、日本語で「たんぱく質」を意味します。たんぱく質は肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などに多く含まれており、普段の食事で食品から摂取できる栄養素です。
市販のプロテインとして売られているものは、たんぱく質を豊富に含んだ商品であることが一般的です。日々トレーニングをする方、スポーツをする方が飲むものだというイメージを持つ方は多いでしょう。
しかし実際は、運動をする方だけがたんぱく質を摂取すればいいわけではなく、普段運動をしない方にとっても必要となる栄養素です。
たんぱく質は皮膚・筋肉・髪・爪などのもとになるほか、ホルモンや免疫物質を作るといったさまざまな役割があります。カラダを構成して生命を維持するために欠かせない栄養素のひとつなので、運動の有無に関わらず必要量を摂取するのが理想です。
なお、プロテインの原材料は大豆や牛乳であり、薬ではなく食品に該当するため、運動をせずに飲んだからといって、健康に害が出るものではありません。
むしろ普段の食事ではたんぱく質量が足りないときに上手に活用すると、栄養バランスの補填が期待できます。
運動しないでプロテインを飲むと筋肉がつく?
運動をしていて筋肉質の方がプロテインを飲んでいると聞いたことがある場合、「プロテインを飲んだらすぐに筋肉質になる」と思うかもしれません。
しかし、運動をせずにプロテインを飲んだとしても、それだけで簡単に筋肉がつくわけではありません。
プロテインは、普段の食事だけでは摂取しきれないたんぱく質を補うための栄養補助食品です。
日々運動をする方がプロテインを飲むのは、カラダへの負荷で傷つく筋肉を効率的に回復させるために、また運動量や筋肉量が多いと食事だけでは必要な量が摂りきれない分を補うために、筋肉を作る材料となるたんぱく質を摂取するためだと考えられます。
つまり「筋肉をつけて理想のボディラインを手にしたい」と考えるなら、適量のたんぱく質を摂取しながら、日々の生活に運動も取り入れる必要があります。
なお、たんぱく質は毎日の食事から必要量を摂取するのが理想ですが、それが難しい場合の選択肢として、手軽にたんぱく質を摂取できるプロテインを活用する方法が挙げられます。
運動しないでプロテインを飲むと太る?
プロテインを飲むと太ると不安に思う方がいるかもしれませんが、そもそも太るメカニズムは単純で「摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る」と太ります。
摂取エネルギーが消費エネルギーを上回るケースとは、例えば食べすぎて摂取エネルギーが増えたり、まったく運動をしないために消費エネルギーが増えなかったりという状況がわかりやすいでしょう。
つまり「プロテインを飲んだから太る」わけではなく、「プロテインを飲んで摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると太る」ということです。これは運動している方も同様で、消費エネルギーに対して過剰にプロテインを飲めば太ります。
プロテインは低カロリーの商品が多い傾向にありますが、プロテインにもカロリーはあるため、飲み過ぎてエネルギーが過剰になれば太る原因になると覚えておきましょう。
太るメカニズムを正しく理解して、適切な摂取エネルギー・消費エネルギーとなるよう心がけることが大切です。
【男性・女性別】たんぱく質の摂取量の目安
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」では、たんぱく質の1日当たりの推奨量(多くの人が必要量を満たすとされる量)について、男女別に示されています。
男性は18~64歳が65g、65歳以上が60gです。女性の場合、18歳以上で50gとなっています。
ただし、これはあくまで目安の量となり、運動習慣の有無や運動レベルによっても推奨量は異なる点に注意が必要です。運動をする方やトレーニングで筋肉を増やしたい方の場合、体重1kgに対して1.5gのたんぱく質が目安となるのが一般的なようです。
また、妊娠中・授乳中の女性もより多くのたんぱく質が必要とされています。妊娠中期では5g、妊娠後期は25g、授乳中は20gを、目安である50gに加算した値を参考に摂取しましょう。
(※)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」
たんぱく質を多く含む食品の一覧
たんぱく質は食事からの摂取が基本となるため、どのような食品にどの程度含まれているのかを知っておきましょう。
文部科学省「食品成分データベース」より、可食部100g当たりのたんぱく質含有量が多い食品の一部を紹介します。
食品の種類 |
食品100g当たりのたんぱく質の含有量 |
|
肉類 |
鶏ささみ 鶏むね肉(皮なし) 豚ロース(赤肉) 豚ヒレ 牛もも肉(赤肉) 牛かた(赤肉) |
24.6g 24.4g 22.7g 22.2g 21.3g 20.2g |
魚介類 |
かたくちいわし(煮干し) うるめいわし(丸干し) クロマグロ 紅鮭 はまぐり あさり |
64.5g 45.0g 26.4g 22.5g 6.1g 6.0g |
豆類 |
きな粉 油揚げ おから 納豆 木綿豆腐 |
36.7g 23.4g 23.1 16.6g 7.0g |
乳製品 |
パルメザンチーズ プロセスチーズ |
44.0g 22.7g |
卵 |
全卵 |
12.2g |
(※)文部科学省「食品成分データベース」
なお、ここでは一律で可食部100g当たりの量を紹介しましたが、実際に食事に取り入れる際には「1食分にどの程度のたんぱく質が含まれるか」という視点を持つ必要があります。
前述した推奨量の目安と照らし合わせながら、普段の食事でたんぱく質を意識的に摂取しましょう。
運動しない方がプロテインを飲むときのポイント
普段運動をしない方がプロテインを取り入れる際には、単純に「毎日プロテインを飲む」と決めるのではなく、日々の食事内容からたんぱく質量を考えて、食事だけでは不足する場合にプロテインを活用するのがポイントです。
プロテインはあくまで、食事では不足する栄養素の補填が目的となるため、主食として摂取するのではなく、食事に偏りがあるときなどに活用しましょう。
ただし、前述のとおり摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると肥満につながるので、過剰に飲みすぎないよう注意が必要です。
プロテインのカロリーが気になる場合は、牛乳や豆乳ではなく水で割って飲むことをおすすめします。もし水以外のもので割って飲む場合には、例えばアーモンドミルクや無脂肪乳など低カロリーのものを選んだり、糖質量・脂質量にも気を配ったりするといいでしょう。
まとめ
たんぱく質が主成分のプロテインは、日々トレーニングをする方やスポーツをする方が飲むものだと思われやすいです。
しかし、たんぱく質は誰にでも必要な栄養素であり、運動をしない方がプロテインを飲んでも問題ありません。
とはいえプロテインにもカロリーはあるため、過剰に飲んで摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると太る原因になり得ることは覚えておきましょう。
また前提として、たんぱく質を含む栄養素は食事から摂るのが基本です。どうしても食事だけではたんぱく質が不足する場合には、プロテインを上手に活用しましょう。
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【監修者】
北嶋佳奈
大学卒業後、飲食店勤務やフードコーディネーターアシスタントを経験し、独立。
2019年に株式会社Sunny and設立。「こころもからだもよろこぶごはん」をテーマに美容・ダイエット・健康に関する料理本の出版、雑誌でのレシピ開発やコラム執筆、ラジオ・テレビ・イベントへの出演などで活動中。
所有資格:管理栄養士